公的支援を受ける~事業主編

ファイナンシャル・プランナー 當舎 緑

2018年11月作成

事業主は、自宅も会社も被害を受けることが多い

大地震が起こった時、事業主の仕事は倍増します。自宅だけではなく会社の心配、さらに雇用する労働者のことも考えなければいけないからです。中小企業の事業主は、家と職場が近い場合も多く、同時に被災するケースが多くおこります。

労働者編でも触れているとおり、公的支援を受けるにあたっては、先に保険料や税金など、決まって支払うものの減免を検討し、収入の道を確保するという流れは同じです。事業主の場合、申請の窓口と申請する書類はさらに多くなります。今回は、事業主だからこそ覚えておきたい、公的支援についてみていきましょう。

最初の判断は難しい!?

事業主は、被災後すぐに営業が再開できるのか、それとも当分の間、休業するのかの判断をしなくてはなりません。その際、会社の事務所がそのまま使える状態かどうかが判断の基準となるでしょう。まずは、被災建築物応急危険度判定士が建物に貼っていく「赤紙」「黄紙」がその目安となります。建物がすぐ使えるのか、移転したほうがいいのかがわかれば、休業するかどうかの判断に役立つでしょう。

注意点としては、この応急的な判断で支援が受けられるわけではない点です。実際に公的支援を受けるためには、市町村が発行する「罹災証明書」が必要です。たとえ、もっとも判定の重い「赤紙」が貼られていても、罹災証明書の被害がもっとも重い「全壊」と判断されるとは限りません。すぐに、罹災証明書を申請しましょう。

労働者をいったん離職させるのか、それともみなし休業させるのか

会社を休業させる場合には、労働者をどうするのか、処遇に迷うところです。休業している間の労働者の処遇には、二つの選択肢があります。

一つ目は、会社が労働者に給料を払わず、一旦離職扱いとし、会社を再開した際に間違いなく復職させることを前提に、雇用保険の失業の給付に相当する「休業手当」を申請させるという方法。
二つ目は、会社が労働者の雇用を継続させ、賃金の6割相当の「休業手当」を支給し、その約3分の2(*1)を雇用調整助成金として申請する方法です。

二つ目の選択をすると、労働保険料や社会保険の負担は生じます。ただ、災害時には減免や納付猶予や分割払いなどが交渉できます。罹災証明書の被害認定が「半壊」以上であれば、減免の申請もできますが、被害を受けた建物が多く、罹災証明書の被害認定に時間がかかりそうであれば、とりあえずは、年金事務所や労働局に猶予を交渉してみましょう。

休業期間が短くて済むようであれば、二つ目の選択肢を選ぶ方が、労働者にとってもデメリットは少なくなるでしょう。

ただ、会社を再開できたとしても、家庭の事情で戻ってこない労働者もいるかもしれません。その際には、被災者や高齢者を雇い入れるということを考えてみてください。被災者を新規採用した時、1人あたり60万円(*2)が会社に支給されるという特定求職者雇用開発助成金があります。

*1 中小企業が休業させた場合。大企業が、休業、出向、教育訓練をして助成金を申請した場合には、支援内容は異なります。

*2 1年以上雇用する見込みのある週所定労働時間30時間以上の常用労働者を雇い入れた場合。
中小事業主等以外の場合は50万円。ハローワーク経由の採用であることが条件。

*1、*2ともに2018年11月執筆当時の内容です。支給内容等は変更される可能性があります。

公的支援は変わるもの

災害が起こった時の支援は、毎回同じとは限りません。液状化や土砂崩れ、水害など、被害の程度が異なるからです。東日本大震災が起こった時、修理費が現物支給される「応急修理制度」を巡っては、あまりの数の多さに業者が現物給付に対応しきれず、現金で給付することも検討事項として挙げられました。

災害後には、これまでと異なる新たな支給要件が加えられることもあります。支援は常に変わることを想定して、人に聞いた噂を鵜呑みにせず、しっかりと窓口の担当者に確認しましょう。災害が起こった時にはネットの情報も錯綜しますので、間違った情報も流れます。情報は必ず、発信元にその都度その都度の確認をするとよいでしょう。

ちなみに、公的支援の申請に罹災証明書が必要となるのは、個人も会社もどちらも同じですが、民間の保険などは、加入する会社によって保険金が支払われるための判断基準が異なります。地震補償保険リスタのように、罹災証明書と連動して、保険金が支払われるものもありますが、民間の保険の場合には、ほとんどが、会社の調査員による損害の被害調査後の保険支払となります。

いずれにせよ、保険に加入していたものの保険金が受け取れないというのは困りますから、「どんな時に」支払われるのかの要件をあいまいにせず確認しておくことが欠かせないでしょう。

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當舎 緑(とうしゃ みどり)

「地震保険を考えるFP研究会」「子どもにかけるお金を考える会」所属。一般社団法人かながわFP生活相談センター理事。社会保険労務士、行政書士、ファイナンシャルプランナー。神戸大学農学部卒業後、メーカーに就職したものの、転職を決意。社会保険労務士事務所に勤務後、独立開業。現在は、数社の顧問として、社会保険関係の手続きなどを担当。その他にも、行政書士としての法律相談、ファイナンシャルルプランナーとして、雑誌やウェブでの執筆監修、各種職業訓練の講師、社内研修講師、消費者セミナーの講師などをこなしている。

 
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募集文書番号:BG02-2018-1994
2018年11月作成
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